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 建築基準法解説(抜粋)

【6.建築物の高さの制限】

1)第1種低層住居専用地域・第1種低層住居専用地域内における建築物の高さの限度
(法55条、令130条の10)

(1)第1種低層住居専用地域又は第2種低層住居専用地域内の高さの限度

都市計画で10mと定められた地域では10mを、12mと定められた地域では12mを超えてはならないと定められています。


注)塔屋(ペントハウス)の用途が階段などで、その部分の水平投影面積が建築面積の1/8以内で、かつ、塔屋(ペントハウス)部分の高さが5m以下であるならその部分は10mまたは12mの高さの限度に算入されません。





2)建築物の各部の高さ

1、 道路斜線制限
(法56条1項1号、令130条の11から令135条の4及び参照法別表第3)

(1)道路斜線

* 前面道路の反対側の境界線から、一定の勾配で示された線(道路斜線)の範囲内に建築物を建築できます。

* 前面道路と法42条1項又は2項による道路のほか、令131条の2に規定する特定行政庁が認める計画道路も前面道路とみなされます。

* 高さの起算点は道路中心線とします。


《法別表第3(に)》




(2)道路斜線制限の適用範囲(法別表第3(は)欄)

* 道路斜線制限の影響は無限には続きません。原則ととして道路の反対側の境界線から一定の距離の範囲「適用距離」において、道路斜線制限の適用を受けます。

* 適用距離は、「基準容積率」で決まります。

* 敷地が2以上の地域・区域にわたる場合は、適用距離の特例があります。
(法別表第3備考2、令130の11)


(3)その他、道路斜線緩和規定


○建築物が道路境界線よりセットバックする場合の緩和規定。
(法56条2項、令130条の12)

■セットバックする距離の算定の特例
a:地盤面下の部分 (法56条2項かっこ書き)

b:物置等で下記の条件をすべて満足したもの(令130条の12第1号)。
*前面道路の中心からの軒の高さが2.3m以下。
*床面積の合計が5m2以下。
*開口が道路と敷地が接する長さの1/5以下。
*道路境界線から1m以上離れていること。

c:ポーチ等で下記の条件をすべて満足したもの(令130条の12第2号)。
*前面道路の中心からの高さが5m以下。
*ポーチの開口が道路と敷地が接する長さの1/5以下。
*道路境界線から1m以上離れていること。

d:道路に沿って設けられる高さが2m以下の門や塀。ただし、高さが1.2mを超えるものは、その超える部分は網状などであること。(令130条の12第3号)。

e:隣地境界線に沿って設けられる門や塀。(令130条の12第4号)。

f:歩廊、渡り廊下等で特定行政庁が規則で定めたもの。(令130条の12第5号)。

g:建築物の部分で前面道路の中心からの高さが1.2m以下のもの。
(令130条の12第6号)


○住居系用途地域内における道路斜線制限の緩和規定
 (法56条3項、4項、令130条の12)


○2以上の前面道路がある場合の道路斜線制限の緩和
 (法56条6項、令132条)

■2以上の前面道路がある場合の基本事項
*幅員の最大な前面道路の境界線から、その幅員の2倍以内、かつ、35m以内の区域及び、その他の前面の中心線から10mを超える区域は、全て全面道路が、最大な前面道路の幅員があるものとみなします。(令132条1項)

*上記以外の部分のうち、それぞれの前面道路の境界線から、その幅員の2倍以内、かつ35m以内の区域は、幅員の大きい前面道路があるとみなします。 (令132条2項)

*上記2つ以外の区域は、接する道路のみを前面道路とします。 (令132条3項)


(4)前面道路とみなす道路など (令131条の2)

*土地の区画整理事業を施工した地区等で、特定行政庁が指定するものは、その街区の接する道路を前面道路とみなします。

*敷地に接して、又は敷地内に計画道路若しくは予定道路がある場合で、特定行政庁が交通上、安全上、防火及び衛生上支障がないと認める建築物は、その計画道路又は予定道路を前面道路とみなします。


(5)前面道路の反対側に公園、広場、水面(河川)などがある場合 (令134条)


(6)道路面と敷地の地盤面に高低差が1m以上ある場合 (令135条の2)

*敷地の地盤面が前面道路より1m以上高い場合は、その高低差から1mを減じた値の 1/2だけ道路面が高い位置にあるものとみなします。


2、 隣地斜線制限(法56条1項2号、令135の3)

(1)隣地斜線

* 隣地境界線上に一定の高さをとり、その点から定められた勾配で引かれた線(隣地斜線)の範囲内に建築物を建築できます。
* 第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域については、高さの限度が10m又は12mと定められているため、隣地斜線の制限は適用されません。
* 隣地斜線制限の高さの起算点は地盤面です。







第1種、第2種中高層住居専用地域(北側を除く)
第1種、第2種住居地域、準住居地域
近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域


(2)建築物が隣地境界線より後退している場合(法56条1項2号)

*第1種中高層住居専用地域・第2種中高層住居専用地域、第1種住居地域・第2種住居地域、準住居地域の建築物で高さが20mを超える部分を有するものです。

*近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域、工業専用地域及び用途地域の指定のない区域の建築物で高さ31mを越える部分を有するものです。


(3)隣地斜線制限の緩和措置(令135条の3)

*敷地が公園、広場、水面(河川等)などに接する場合、これらに接する隣地境界線はその公園等の幅の1/2だけ外側にあるものとみなすことができます。
(令135条3項1号)

注)公園とは一般的にいう街区公園(児童公園)は除きます。
 (都市計画法施行令2条1項1号に規定する都市公園)

*敷地の地盤面が隣地の地盤より1m以上低い場合、その敷地の地盤面はその高低差より1mを減じた値の1/2だけ高い位置にあるものとみなします。(令135条3項2号)

*計画道路又は予定道路を前面道路とみなす場合、計画道路又は予定道路内の隣地境界線は無いものとみなします。(令135条3項3号)


3、 北側斜線制限(法56条1項3号、令135の4)

第1種・第2種低層住居専用地域及び第1種・第2種中高層住居専用地域に適用される。
ただし、第1種・第2種中高層住居専用地域で日影規制の規定を受ける区域は適用しません。 (法56条の2)

注)北側斜線の場合塔屋(ペントハウス)は北側斜線の限度を超えることはできません。
  ただし、防火壁・棟飾りなどは除きます。


(1)第1種低層住居専用地域・第2種低層住居専用地域の北側斜線制限

*真北方向にある隣地境界線、又は、真北方向にある道路の反対側の境界線までの距離に1.25を乗じて得た数値に、5mを加えた数値以下の高さとしなければなりません。
注)高さの限度は10m又は12mであることに注意します。


(2)第1種中高層住居専用地域・第2種中高層住居専用地域の北側斜線制限

*真北方向にある隣地境界線、又は、真北方向にある道路の反対側の境界線までの距離に1.25を乗じて得た数値に、10mを加えた数値以下の高さとしなければなりません。

※下図参照





(3)北側に水面などがある場合の緩和規定(令135条の4第1項1号)

*北側の前面道路の反対側又は敷地の北側に水面(河川等)、線路敷などがある場合は、その水面等の幅の1/2だけ外側に境界線があるものとみなします。


(4)北側隣地の地盤面より低い場合の緩和規定(令135条の4第1項2号)

*敷地が北側にある隣地の地盤面より1m以上低い場合、その敷地の地盤面はその高低差から1m以上低い場合、その敷地の地盤面はその高低差から1mを減じた値の1/2だけ高い位置にあるものとみなします。


4、 敷地が異なる地域、地区にわたる場合(法56条5項)

それぞれの地域や区域に含まれる敷地の部分ごとに、それぞれの制限が適用されます。