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 建築基準法解説(抜粋)



【5.シックハウス関連の改正基準法】


シックハウス関連
基準法改正及び性能表示制度改正について

シックハウス対策に係る改正建築基準法が、平成15年7月1日から施行されました。また、住宅性能表示制度においても、改正建築基準法との整合性を図るため、平成15年4月30日に「日本住宅性能表示基準」及び「評価方法基準」等の変更がされました。以下に、法改正の内容について、解説をします。

(1)シックハウス対策に係る建築基準法改正について

○法律の施行日・・・平成15年7月1日
平成15年7月1日以降に着工する物件は、今回の改正による内容に対応する必要があります。なお7月1日より前に建築確認を受けているものに関しては、計画変更が原則となりますので、各行政機関に確認の上対応して下さい。


イ)法改正の概要

(a)ホルムアルデヒドに関する建材、換気設備の規制

内装仕上げの制限 内装仕上げに使用するホルムアルデヒドを発散する建材の面積制限をします。
換気設備の義務付け 原則として全ての建築物に機械換気設備の設置を義務付けます。
天井裏などの制限 天井裏などから居室へのホルムアルデヒドの流入を防ぐための措置をします。

(b)クロルピリホスの使用禁止

居室を有する建築物には、しろあり駆除剤のクロルピリホスの使用を禁止します。


ロ)ホルムアルデヒド対策の詳細

(a)内装仕上げの制限

1.建築材料の区分

内装仕上げに使用するホルムアルデヒドを発散する建築材料の等級が変更され、以下のような制限が行われます。「内装仕上げ」とは、「廻り縁、窓台その他これに類する部分」を除く、壁、床及び天井の面的な部分であり、柱等の軸材、巾木、手摺、鴨居、長押等の造作部分、建具枠、部分的に用いる塗料、接着剤等は対象外となります。
また、これまでのJIS・JAS規格の等級付けも変更になりました。

建築材料の区分 ホルムアルデヒドの発散    (放散速度) JIS、JASなどの 表示記号 内装仕上げの制限
建築基準法の規制対象外 5μg/孱莪焚 F☆☆☆☆
(旧設定なし)
制限なしに  使える
第3種ホルムアルデヒ発散建築材料 5μg/〜20μg/孱 F☆☆☆
(旧Eo・Fco)
使用面積が制限される 
第2種ホルムアルデヒド発散建築材料 20μg/〜120μg/孱 F☆☆
(旧E1・Fc1)
第1種ホルムアルデヒド発散建築材料 120μg/孱萃 設定なし(旧E2、Fc2及び表示なし) 使用禁止

規制対象となる建材は、以下の通りです。

木質建材 合板、木質系フローリング、構造用パネル、集成材、単層積層材(LVL)、MDF、パーティクルボード
その他 壁紙、接着剤、保温材、緩衝材、断熱材、塗料、仕上塗材等

2.ホルムアルデヒド発散建築材料の使用面積制限

F☆☆☆☆の建築材料は、使用面積が無制限ですが、第2種ホルムアルデヒド発散建築材料(F☆☆)及び第3種ホルムアルデヒド発散建築材料(F☆☆☆)については、次の式を満たすように、居室の内装仕上げの使用面積を制限されます。

N2S2+N3S3≦A
N2,N3:下表の該当する数値
S2:第2種ホルムアルデヒド発散建築材料(F☆☆)の使用面積
S3:第3種ホルムアルデヒド発散建築材料(F☆☆☆)の使用面積
A:居室の床面積

居室の種類 換気回数 N2 N3
住宅等の居室 0.7回/h以上 1.2 0.2
0.5回/h以上 0.7回/h未満 2.8 0.5
上記以外の居室 0.7回/h以上 0.88 0.15
0.5回/h以上 0.7回/h未満 1.4 0.25
0.3回/h以上 0.5回/h未満 3 0.5

(b)換気設備設置の義務付け

原則として、機械換気設備の設置が義務付けられます。

ホルムアルデヒドを発散する建材を使用しない場合でも、家具からの発散があるため、原則として全ての建築物に機械換気設備の設置が義務付けられます。住宅の居室には、換気回数0.5回/h以上の機械換気設備(いわゆる24時間換気システム等)の設置が必要となります。

居室の種類 換気回数
住宅等の居室 0.5回/h以上
上記以外の居室 0.3回/h以上

但し、天井の高さが一定の高さ以上の居室で、換気回数の緩和を受ける場合は
以下の表に従います。

天井の高さ(m) 2.9以上
3.9未満
3.9以上
5.8未満
5.8以上
11.5未満
11.5以上
換気回数(回/h) 0.4 0.3 0.2 0.1

居室とは、居間、寝室、子供室、台所、書斎など居住、執務、作業等に継続的に使用する室ですが、居室でない廊下、トイレ、浴室についても、居室の換気のための換気経路となっている場合は、居室として扱われます。この場合、その合計の床面積に天井高をかけた容積に応じた換気量を持つ換気設備を設置する必要があります。

(例)
  • 開き戸(ガラリやアンダーカット)のあるもの、折れ戸、引き戸などで居室と仕切られ、換気経路になっている廊下は居室と一体とみなされます。
  • 居室からの排気をトイレ、浴室等からまとめて排気する場合はトイレ、浴室等は居室と一体とみなされます。
  • 給気経路になっている納戸、ウォークインクローゼット等は居室と一体とみなされます。

室の用途 廊下、トイレ、浴室等
換気経路 全般換気の換気経路
とする場合
全般換気の換気経路
としない場合
室の扱い
(居室との境にある建具別)
開き戸
折れ戸
引き戸
居室と一体扱い(*1 ) 規制対象外
ふすま
障子
居室扱い


また、以下のような居室の場合は、特例として換気設備は不要です。
  1. 常時外気に開放された開口部と隙間の換気上有効な面積の合計が床面積1m2 あたり15 cm2 以上ある居室。
  2. 真壁造(壁に合板を用いていないこと)の建築物の居室で天井及び床に合板等を用いていない居室または開口部の建具に木製枠を用いた居室

(c)天井裏などの制限

機械換気設備を設ける場合には、天井裏、床下、壁内、収納スペース等から居室へのホルムアルデヒドの流入を防ぐため、以下の1〜3のいずれかの措置が必要となります。ただし、収納スペースなどであっても、建具にアンダーカット等を設け、かつ、換気計画上居室と一体的に換気を行う部分については、居室とみなされ、内装仕上げの制限の対象となります。

1.建材による措置 天井裏等に第1種、第2種のホルムアルデヒド発散建築材料を使用しない(F☆☆☆以上とする)
2.気密層、通気止めによる措置 気密層又は通気止めを設けて天井裏等と居室とを区画する
3.換気設備による措置 換気設備を居室に加えて、天井裏等も換気できるものとする。


(2)住宅性能表示基準の変更概要について

シックハウス対策に係る建築基準法改正に伴い、平成15年4月30日に日本住宅性能表示基準・評価方法基準等が一部変更になりました。


イ)ホルムアルデヒド対策

(a)ホルムアルデヒド対策等級の変更

建築基準法の改正により、ホルムアルデヒドの発散量の多い建材が、居室の内装に使用出来なくなり、また、JIS・JASが改正され、Eo・Fcoという表記が、F☆☆☆と変更されるとともに、新たに発散量の極めて少ないF☆☆☆☆が位置付けられたため、住宅性能表示基準もこれに対応し、以下の改正を行いました。

現行等級 改正後等級
なし   等級3(F☆☆☆☆)
等級4(Eo・Fco)   等級2(F☆☆☆)
等級3(E1・Fc1)   等級1(F☆☆)
等級2(E2・Fc2)   なし(使用禁止)
等級1(その他)   なし(使用禁止)

(b)評価対象建材の追加

これまでの合板や、パーティクルボード等の木質系建材に加え、壁紙、塗料、接着剤、断熱材等についても、評価対象になりました。但し、評価対象となる「内装仕上げ」とは、建築基準法と同様に「廻り縁、窓台その他これに類する部分」を除く、壁、床及び天井の面的な部分であり、柱等の軸材、巾木、手摺、鴨居、長押等の造作部分、建具枠、部分的に用いる塗料、接着剤等は対象外となります。

また、現行通りホルムアルデヒドを使用しない製材、丸太及び単層フローリングは「製材等」として、ホルムアルデヒドを放散する可能性のある「特定建材」とは区分されます。

(c)評価対象部分の追加

評価の対象となる住宅の部分は、内装だけでなく、天井裏等についても評価することとなりました。内装は、等級1〜3、天井裏は、等級2又は3と評価、表示されます。

6-1
ホルムアルデヒド対策
 (内装及び天井裏等)
居室の内装の仕上げ及び換気等の措置のない天井裏等の下地材等からのホルムアルデヒドの発散量を少なくする対策
□製材等(丸太及び単層フローリングを含む)を使用する
□特定建材を使用する
□その他の建材を使用する
(結果が「特定建材を使用する」の場合のみ、以下の「ホルムアルデヒド発散等級」の結果を表示する。)
  ホルムアルデヒド発散等級 居室の内装の仕上げ及び換気等の措置のない天井裏等の下地材等に使用される特定建材からのホルムアルデヒドの発散量の少なさ
□該当なし(内装)
□該当なし(天井裏等)
内装 天井裏  
3 3 ホルムアルデヒドの発散量が極めて少ない(日本工業規格又は日本農林規格のF☆☆☆☆等級相当以上)
2 2 ホルムアルデヒドの発散量が少ない(日本工業規格又は日本農林規格のF☆☆☆等級相当以上)
1 - その他


ロ)全般換気対策、局所換気設備

表示の簡素化を図るため、全般換気対策と局所換気対策を統合し、その中で「居室の換気対策」と「局所換気対策」を表示することになりました。

6-2
換気対策
室内空気中の汚染物質及び湿気を屋外に除去するため必要な換気対策
  居室の換気対策 住宅の居室全体で必要な換気量が確保できる対策
□機械換気設備 □その他[       ]
局所換気対策 換気上重要な便所、浴室及び台所の換気のため対策
便所:□機械換気設備 □換気のできる窓 □なし
浴室:□機械換気設備 □換気のできる窓 □なし
台所:□機械換気設備 □換気のできる窓 □なし


ハ)室内化学物質の濃度等

室内の化学物質の濃度について実測し、その結果を測定条件とともに表示するものについては、測定の対象となる化学物質は、これまでホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、エチルベンゼン及びスチレンの5物質でしたが、今回アセトアルデヒドが追加されました。


換気システム


イ)換気システムの仕様

換気は、範囲に応じて「全般換気」と「局所換気」、換気方法によって「自然換気」と「機械換気」に分けられます。また、「機械換気」の運転方法には「連続運転」と「間欠運転」があります。

シックハウス対策としての換気は、住宅全体について化学物質濃度を低下させるために、「全般換気」、「機械換気」、「連続運転」とする必要があります。機械換気は、給気と排気の両方、またはどちらかにファンが必要ですが、その組み合わせにより[第1種換気]、[第2種換気]、[第3種換気]の3種類の方法に分類されます。

換気の範囲 全般換気 住宅全体を換気
局所換気 住宅の一部(台所レンジ、トイレ、浴室など)を換気
換気の方法 自然換気 換気口により換気
風力、温度差など自然現象により換気量が変動
機械換気 換気ファン等により換気
機械力により強制的に排気、若しくは給気を行うため、より確実な換気量の確保が可能
機械換気の種類 第1 種換気:給気と排気の両方とも換気ファンを用いるもの
第2種換気:給気は換気ファン、排気に換気口を用いるもの
第3 種換気:排気は換気ファン、給気に換気口を用いるもの
機械換気の運転 連続運転 常時の汚染・臭気発生源(居室など)を換気
間欠運転 一時的な汚染発生源(台所レンジ、浴室など)を換気


ロ)給排気の計算方法

必要な換気量は次の式で計算されます。

必要換気量(m3/h) = 換気回数(回/h) × 居室の床面積(m2) × 天井高さ(m)

必要な換気量を算出するための床面積は、建物全体の床面積で計算します。
換気回数は、給気0.4回/h・排気0.5回/h、建物面積150屐居室の天井高さは2.5mとした場合にて計算します。

(a)給気側の必要換気量計算

必要換気量=0.4(回/h)× 150(屐法2.5(m)=150(m3 /h)

この必要換気量を、吸気ファンの風量(事例:三菱エアフロー換気システム 20.7m3/箇所)により割った数量が必要な吸気ファンの箇所数になります。

吸気ファン必要箇所数 = 必要換気量(m3/h) /吸気ファン風量20.7(m3)

吸気ファン必要箇所数=150(m3 /h)/20.7(m3)=7.25<8(箇所)

(b)排気側の必要換気量計算

必要換気量=0.5(回/h)×150(屐法2.5(m)=187.5(m3 /h)
この必要換気量を、排気ファンの風量(事例:三菱エアフロー換気システム35m3/箇所)により割った数量が必要な排気ファンの箇所数になります。

排気ファン必要箇所数 =必要換気量(m3/h) /排気ファン風量35(m3)

排気ファン必要箇所数=187.5(m3 /h)/35(m3)=5.36<6(箇所)

<解説> 国土交通省より出されているシックハウスマニュアルでは、第1種換気の場合給気側あるいは排気側のどちらかで必要換気量を満たし、給気と排気の総風量のバランスを取るとの記述があります。この場合に、排気側で0.5回/hの排気量を満足する機械換気を設定すれば、給気側では0.4回/h程度の給気量を満足する機械換気でも問題ないと考えられます。その理由は、完全な高気密住宅(隙間相当面積1c屐伸屮譽戰襪侶物)以外の建物であれば、排気側の換気によって建物内部が負圧になることにより、建物に存在する隙間からの自然給気が期待できるからです。


ハ)給排気ファンの配置方法

新鮮な空気を入れる吸気口は、各居室に最低1ヶ所設置します。新鮮な空気は、室内の汚染空気に触れる距離が長いほど換気の効果が高まりますので、水廻り等に設ける排気口の位置と関連づけて、建物全体が隅々まで効率良く気流が起こるように、バランス良く配置します。

(a)配置上の注意点

  • 吸気口は、各居室に最低1ヶ所設置する
  • 吸気口は、居室の出入り口からなるべく離して設置する
  • 排気口は、水廻りの各室(トイレ、浴室、洗面脱衣室)に最低1ヶ所設置する
  • 排気口は、吸気口からなるべく離して設置する

キッチン換気扇の同時給排気型への変更

ガスレンジを使用する時には、燃焼時に多量の換気量が必要になります。通常の換気扇を使用すると、気密の確保が出来ないばかりでなく、計画換気の空気の流れを乱す原因にもなります。これらの現象を防ぐため、キッチン換気扇には同時給排気型のものを使用します。通常の換気扇は、室内空気がほぼ100%排出されますが、同時給排気型は、60〜70%に低減され、室内の過換気を和らげ、室温の変化を抑えることが出来ます。