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 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律
1. 建築物の解体に当たっては分別解体等及び再資源化等が義務付けられます。
特定建設資材を用いた建築物等の解体工事、特定建設資材を使用する新築工事等で一定規模以上の工事(対象建設工事※1)については、特定建設資材廃棄物※2を基準※3に従って工事現場で分別(分別解体等)し、再資源化などすることが義務付けられます。
※1 下表の規模以上の工事について、分別解体等及び再資源化等が義務づけられます。
工事の種類 規模の基準
建築物の解体 80m2
建築物の新築・増築 500m2
建築物の修繕・模様替(リフォーム等) 1億円
その他の工作物に関する工事(土木工事等) 500万円
注1) 解体工事とは建築物の場合、基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材、床材、屋根板又は横架材で建築物の自重若しくは積載荷重、積雪、風圧、土台若しくは水圧又は地震その他の振動若しくは衝撃を支える部分を解体することをさします。
注2) 建築物の一部を解体、新築、増築する工事については、当該工事に係る部分の延床面積が基準にあてはまる場合について対象建設工事となります。また建築物の改築工事は、解体工事+新築(増築)工事となります。
【語句の意味】
新 築 新たに建築物を建てること
増 築 同一敷地内において、既存建築物の床面積を増加させること
改 築 建築物の全部又は一部を除去するか、災害等により失われた場合に、用途、規模、構造等が従前の建築物と著しく異ならない建築物を建てること
修 繕 同じ材料を用いて元の状態に戻し、建築当初の価値に回復させるための作業
模様替 建築物の材料、仕様を替えて建築当初の価値の低下を防ぐ作業
(修繕、模様替は、建築物の床面積が増減することはない)
※2 分別解体等及び再資源化が必要となる特定建設資材は以下の通りです。
(1)コンクリート (2)コンクリート及び鉄から成る建設資材 (3)木材 (4)アスファルト・コンクリート
※3 分別解体等の施工手順はP6〜7を参照してください。
ただし指定建設資材廃棄物については、再資源化施設までの距離が遠いなど、経済性等の制約が大きい場合には、再資源化に代えて縮減を行えば足りることとしています。
※4 指定建設資材廃棄物は、木材が廃棄物となったもの(廃木材)を指します。廃木材について は、工事現場から最も近い再資源化施設までの距離が50kmを越える場合については、縮減(焼却)を行ってもよいこととしています。


2. 工事の発注者や元請業者等は次のことを行う必要があります。
〇適正な分別解体等及び再資源化等の実施を確保するため、発注者による工事の事前届出や元請業から発注者への事後報告、現場における標識の掲示などが義務付けられます。
〇受注者への適正なコストの支払を確保するため、発注者・受注者間の契約手続きが整備されます。

◆分別解体・再資源化の発注から実施への流れ◆



(1)受注者から発注者への説明(受注者(元請)の義務)
対象建設工事の元請業者は、発注者に対し、建築物等の構造、工事着手時期、分別解体等の計画等について書面を交付して説明することが必要です。
(2)契約
発注者が元請業者とかわす対象建設工事の契約書面においては、分別解体等の方法、解体工事に要する費用及び再資源化等に要する費用や、再資源化のために特定建設資材廃棄物を持ち込む予定の施設の名称等の明記が必要です。
(3)事前届出(発注者の義務)
発注者は、工事着手の7日前までに、分別解体等の計画等について都道府県知事に届け出ることが必要です。
(4)変更命令
発注者の届出に係る分別解体等の計画の基準に適合しないと認められる場合、都道府県知事より変更命令が行われます。
(5)告知・契約
受注者は、請け負った建設工事の全部または一部を他の建設業者に下請させる場合には、元請業者は、下請業者に対し、都道府県知事への届出事項を告知したうえで契約を結びます。
(6)分別解体等、再資源化等の実施、技術管理者による施工の管理、現場における標識の掲示(受注者全体(元請・下請とも)の義務)
分別解体等、再資源化等の実施にあったては、解体工事業者は、解体工事の現場ごとに、公衆の見やすい場所に標識を掲示します。また、工事の施工を管理する技術管理者の配慮が必要です。なお、建設業許可業者が工事を行う場合は、建設業法に基づく標識の掲示や技術者を配置が必要となります。
(7)再資源化等の完了の確認及び発注者への報告(受注者(元請)の義務)
元請業者は、再資源化等が完了したときは、その旨を発注者に書面で報告するとともに、再資源化等の実施状況に関する記録を作成し、保存します。
※1 都道府県知事の事務の一部を市町村等の長が行います。
分別解体等に関する事務の一部は建築基準法の特定行政庁である市町村等の長が、また、再資源化等に関する事務の一部は地域保健法の保健所設置市等の長が行います。
※2 助言・勧告・命令・報告の徴収・立入検査
都道府県知事は、工事の受注者などに対し分別解体や再資源化の適正な実施のため必要な場合には助言や勧告を行うことができます。
また都道府県知事は、工事の受注者などが分別解体や再資源化の適正な実施に必要な行為をしない場合には分別解体や再資源化の方法の変更を命ずることができます。
さらに都道府県知事は、必要な場合には分別解体や再資源化の実施状況について報告を求めたり、立入検査を行うこともあります。


3. 分別解体等は以下の手順で行います。
分別解体実施の手順
(1)対象建築物等に関する調査の実施
対象となる建築物等、その周辺状況、作業場所、搬出経路、残存物品の有無等の調査を行います。
(2)分別解体等の計画の作成
次の事項を内容とする計画を作成します。
イ) 対象建築物等に関する調査の結果及び工事着手前に講じる措置の内容
ロ) 工事の工程の順序及び工程ごとの作業内容と分別解体等の方法
ハ) 対象建築物等に用いられた特定建設資材廃棄物※1の種類ごとの量の見込み及びその発生が見込まれる場所
ニ) その他分別解体等の適正な実施を確保するための措置等
※1 特定建設資材廃棄物
特定建設資材 特定建設資材廃棄物
コンクリート コンクリート塊(コンクリートが廃棄物となったもの)
コンクリート及び鉄から成る
建設資材
木材 建設発生木材(木材が廃棄物となったもの)
アスファルト・コンクリート アスファルト・コンクリート塊
(アスファルト・コンクリートが廃棄物となったもの)
(3)工事着手前に講じる措置の実施
工事実施の前に作業場所及び搬出経路の確保等を図ります。また、残存物品等、特に家電リサイクル法の対象物について、発注者が事前に搬出を行ったか確認します。
(4)工事の施工
 計画に基づいて解体工事を施工します。
工事は、技術上、安全管理上等の条件を踏まえ、必要に応じて作業又は、手作業及び機械作業の併用により行います。
新築工事の場合も、(1)対象建築物等に関する調査の実施(2)分別解体等の計画の作成(3)工事着手前に講じる措置の実施(4)工事の施工の順に行います。
【標準的な作業手順】
建築物の解体の場合
(1)建築設備・内装材等の取り外し(2)屋根ふき材の取り外し(3)外壁材・上部構造部分の取り壊し(注:上部構造部分とは、構造耐力上主要な部分のうち、基礎・基礎ぐいを除いた部分のこと。)(4)基礎及び基礎ぐいの取り壊し
土木構造物の解体の場合
(1)土木構造物の付属物(2)土木構造物本体(3)基礎・基礎ぐいの順に行います。


4. 建築物等の解体工事の実施には建設業許可か解体工事登録が必要です。
次の建設業許可をお持ちですか?
・土木工事業
・建築工事業
・とび、土木工事業
YES
今お持ちの許可で解体工事を実施できます。
(登録は不要です)
↓NO
500万円以上の工事を請け負いますか? YES
建設業の許可が必要です。
↓NO
登録が必要です。
登録は、工事を行う都道府県ごとに行ってください。その際、次の要件を満たさなければなりません。
・不適格要件に該当しないこと(2年以内に登録を取り消された者でない等)
・技術管理者を選任していること(技術管理者は、下記(1)の実務経験か(2)の資格を有していなければなりません。)
(1)実務経験者
実務経験年数
学歴
解体工事業登録 【参考】
建設業許可

国土交通大臣
指定講習受講者
(注2)
一定の学科
(注1)を履修した大学・高専卒業者
2年 1年 3年
一定の学科を履修した高校卒業者 4年 3年 5年
上記以外 8年 7年 10年
注1)一定の学科とは、土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科を含む)、建築学、都   市工学、衛生工学又は交通工学に関する学科。
注2)講習については、(社)全国解体工事業団体連合会が実施する解体工事施工技術講習。
注3)解体工事施工士技士試験は、(社)全国解体工事業団体連合会が実施する試験。
(2)有資格者
資格・試験名 種別
建設業法による技術検定 一級建設機械施工
二級建設機械施工(「第一種」、「第二種」)
一級土木施工管理
一級土木施工管理(「土木」)
一級建築施工管理
二級建築施工管理(「建築」、「躯体」)
技術士法による第二次試験 技術士(「建設部門」)
建築士法による建築士 一級建築士
二級建築士
職業能力開発促進法による技能検定 一級とび・とび工
二級とび+解体工事経験1年
二級とび工+解体工事経験1年
国土交通大臣が指定する試験 解体工事施工技士試験合格者 注3)


罰則一覧
章・節 内容 罰則 罰則条項
第3章
分別解体等の実施
10 1 対象建設工事の届出 20万 51条1号
2 対象建設工事の変更の届出 20万
3 対象建設工事の届出等に係る変更命令 30万 51条1号
15   分別解体等義務の実施命令 50万 49条
第4章
再資源化等の実施
18 1 発注者への報告の記録 10万 53条1号
20   再資源化等義務の実施命令 50万 49条
第5章
解体工事業
21 1 登録 懲役1年・50万 48条1号
2 登録更新 懲役1年・50万
25 1 変更の届出 30万 50条2号
27 1 廃業等の届出 10万 53条2号
29 1 登録の取り消し等の場合における解体工事の措置 20万 51条2号
31   技術管理者の設置 20万 51条3号
33   標識の掲示 10万 53条3号
34   帳簿 10万 53条4号
35 1 事業停止命令 懲役1年・50万 48条3号
37 1 報告の徴収 20万 51条4号
1 立入検査 20万 51条5号
第6章
雑則
42   報告の徴収 20万 51条4号
43 1 立入検査 20万 51条6号
※第4章18条1項、第5章27条1項・33条・34条は、過料。